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ESTEEMとは

東北大学における医療工学人材育成の取り組み

photos私共、東北大学医療工学人材育成委員会は、平成14年度から活動を開始し、我が国における医療工学の技術開発と医療応用における工学と医学の非対称性を主要なターゲットとして、医療従事者と工学技術者の双方向の理解と協力の基盤を構築することを目標に、主として社会人技術者の再教育プログラムを立案・実施してきた。この間、経済産業省バイオ人材育成システム開発事業(平成14年度~平成15年度)においては、医療工学技術者創成のためのスキルスタンダードやカリキュラム等の開発・策定を行い、平成16年度からは、5カ年計画で、文部科学省科学技術振興調整費新興分野人材養成プログラム「医療工学技術者創成のための再教育システム」(REDEEM: Recurrent Education for the Development of Engineering Enhanced Medicine、以下REDEEM)において、実際の社会人再教育プログラムを実施している。これらの事業において、私共は一貫して医療工学分野における医学・医療従事者と工学技術者の非対称性は、工学技術者に対する医学・生物学的知識・技述への理解の増進と体験によって、より効果的に止揚することが可能であり、このことが我が国に、真の医療工学を根付かせるための基礎となることを信じて社会人技術者の再教育プログラムを実施してきた。このような意図のもとに計画実施されている社会人技術者の再教育プログラムは、我が国はもとより世界的にみても珍しく、これまで3年間の実施期間において受講者からの好評と支援を頂き、事業の実施を継続しているところである。これまでの事業は、従来、技術者にとって不可解であった、医師・医療従事者の考え方の基本が実感として分かるようになることを当面の獲得目標として設定し、講義、実習、e-Learning で、医療工学の基礎から体系的に学習する機会を提供することに主眼をおいてきた。この方針は、REDEEM 事業において継続して実施しているとおりである。

一方、これまでの事業の経験に基づき、さらに、上級の技術、知識、体験を得て、産業および医療の開発現場において指導者たり得る人材の育成が必要であることが痛感されるに至った。このため、新しい、さらにレベルアップした教育コースの策定のために、平成18年度から、経済産業省産学連携製造中核人材育成事業「次世代医療関連産業中核人材育成のための実践的教育システム」(ESTEEM: Education through the Synergetic Training for the Engineering Enhanced Medicine、以下 ESTEEM) を開始することになった。このプログラムでは、既存のREDEEM と平行して大学と産業界を共役(Conjugate)的に結合したシナジェティックな医療工学教育・再教育システムを構築するための制度・システムおよび教育内容・カリキュラムを開発し、産学の双方にまたがる新規の教育システムを構築することを目的としている。


事業とカリキュラムの内容 _  REDEEM から ESTEEM へ

ESTEEMにおいては、我が国医療工学産業における開発・研究の中核となる人材を育成する産学協同の教育課程を整備するため、必要な教育項目、獲得目標、教育カリキュラム等の策定、教材の製作、教育組織を創成する基礎的な準備を行い、これらを総合して、来るべき産官学共同の医療関連産業を担う中核人材の育成システムへ発展させることを目的とする。

具体的には、従来の REDEEM 事業では部分的にしか触れることができなかった医学のより実践的かつ高度な側面について、講義および実験・実習を通じて学び、この知識と経験を、 e-Learning を通じて強化する。とりわけ、新しい技術・産業分野となることが確実な医工連携技術分野に参入する障壁に悩んでいる技術者に参加を勧めるものである。REDEEM 事業において獲得された基礎的な医療工学の技術・知識をベースとして想定しているが、必ずしも前提とはせず、産業界の需要に応えるプログラムを提供する。講師は、東北大学医学部および工学部等の第一線の医師・研究者である教授・助教授等が担当する。


ESTEEM とは

医工連携シナジェティック共役教育

「次世代医療関連産業中核人材育成のための実践的教育システム」の英文課題名である”Education through the Synergetic Training for the Engineering Enhanced Medicine“ 頭文字をとったもので、図に示すように、産業界と学界をへだてる隔壁を越えて、真に協同的な教育システムを創出することを目的としている。先行事業である、REDEEMは「人々を救う」という英単語に一致しているが、ESTEEMは「敬意を払う」という意味の英単語であり、より高度なレベルの知識・技術をみにつけた技術者が指導者(メンター)として、教育に参画し、協同して新しい医療工学を創成することによって尊敬されるようになることを目指したものである。



東北大学医療工学人材育成委員会では、これらの両事業REDEEM−ESTEEMをまさにシナジェティックに結合することによって、産業界より求められる高度な医療工学技術開発を担う中核人材育成を担う教育システムを確立し、産学連携による医療工学人材育成拠点を創成していきたいと考えている。

東北大学医療工学人材育成委員会
委員長 山口 隆美


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